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今回は前回の前・履正社高校の岡田龍生監督の「教えすぎない」指導の後編となります。
前編では、履正社高校の野球における環境、岡田監督の指導方針の転換期、
自分で考える野球の重要性についてお話しました。
今回はそれに加えて、より深く岡田監督の指導内容について掘り下げてお話したいと思います。
親と選手で、分かれて二者面談
野球界では、保護者の介入を快く思わない指導者は多いですが、岡田監督は違います。
履正社高校では一部を除いて、ほとんどが自宅から通学する選手たちです。
そのため保護者が野球部に関わるケースが多くなってきます。
私も以前、野球のコーチをつとめていたことがあるので、わかるのですが、
「うちの子供を使ってくれ」
「この練習は何の意味があるの?」
「もっと練習試合をしないとダメだ」
など指導に対して口を出してくる保護者も出てくるものです。
そのため大抵の野球チームでは
「指導に対して口を出してくるな」と
箝口令(かんこうれい)を敷くものですが、
岡田監督は逆に保護者も貴重な戦力として見ているため
シーズンオフに選手、保護者と分けて二者面談を行っているのです。
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その時に「うちの子はなんでベンチ入りできないんだろう?」といった話も出てくるのですが、
そういった時にしっかりとなぜベンチ入りできないのか説明するようにしているため
たいていの保護者はそこで納得してくださるそうです。
この面談を経て、劇的に変わる選手もいるとのことで、
岡田監督は非常にこの面談を大事にしているのです。
指導者は選手が気づくまで待つ
高校野球は実質2年4ヶ月ほどしか時間がないため、
指導者は選手についつい教えがちになってしまいます。
しかしそれでは「教えすぎな指導」となってしまい、
結果として選手から考える習慣を奪ってしまうのです。

「自分には何が足りないのか」
「それに伴って自分はどういう練習をするべきか」
このようなことに早く気づく必要があります。
早く気づくことができれば限られた時間を有効に使うことができ、
自分の実力を伸ばしていけるのです。
岡田監督は選手に対して、
走攻守において「根拠」を求めます。
それはすなわち、考えてプレーする必要があるため
先述した通り、教えすぎないことが大切になるのです。
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選手が気づくまで待つということは指導者にとって
とても忍耐の要することなのです。
しかし、選手のこれからを考えるのであれば、
指導者は選手が気づくまでじっと待つことも時には必要でしょう。
あえてサボれる環境を作り、選手の自主性を育む
岡田監督は練習中、四六時中選手を監視することはなく、
あえてサボれる環境を作っているといいます。
それはどういうことかというと
例えば、ケージバッティングを行う際に、
岡田監督は選手を守備にはつかせずに
ケージバッティングを行っている選手以外は自主練習の時間にしているそうです。
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そしてその自主練習を岡田監督は見ることがないと言います。
普通であれば、そのような時間を作ると選手はサボろうと思えばサボれるでしょう。
しかし、岡田監督は実際にサボっている選手はほぼゼロに近いといいます。
それは選手それぞれが、「自分は何のために履正社に来たのか」を理解しているからです。
そして先輩たちがひたむきに練習しているのを見て、
後輩たちも成長していくというサイクルが履正社高校野球部にはあるのです。
これは日本のスポーツ界全体に言えることですが、
日本はサボらないようにルールを作るのに対して、
アメリカでは一生懸命な選手に対してルールを作るといいます。
日本のプロ野球でもキャンプの時期は朝から晩まで練習、
夜もミーティングや夜間練習もあるためサボろうにもサボれません。
そのため、自分で考えて課題克服のための練習をすることができないでしょう。
一方、アメリカのメジャーリーグでは全体練習は12時には終了して、
午後からは自分のやりたい練習が出来ます。
つまり、一生懸命やる選手は時分で考えて練習できるため、
どんどん上手くなっていくのです。
好きこそものの上手なれ
「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、
もともとみんな野球が好きで、野球を始めたと思います。
話は変わりますが、岡田監督が若い頃、
テトリス(様々な形のブロックを積み重ねては消していくゲーム)にハマっていて、
一日中ゲームをしていた時期があったそうです。
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そのためどんどん上手くなっていって、難しいレベルのステージもクリアできるようになりましたが、
これはテトリスを「上手くなろう」と努力したからではありません。
楽しくて楽しくてしょうがなく、ただ好きだから夢中になって、
寝る間も惜しんで続けていただけのことなのです。
メジャーリーグでも活躍したイチロー氏も述べていますが、
「努力している」という感覚で野球に取り組むのは非常に危険で、
好きだから夢中で練習している状態が理想です。
バッティングで柵越えができるようになったら、
「もっとホームランを打ちたい」となるでしょうし、
ピッチャーでボールが速くなって、
変化球のキレがよくなったら、
「もっとボールを速くしたい」
「もっと変化球のキレをよくしたい」
となるでしょう。
このように苦しみながら努力を積み重ねる、ではなく、
楽しいから夢中で練習するという状態がベストですよね。
まとめ
では今回のまとめです。
親と選手で、分かれて二者面談
・岡田監督は、保護者も貴重な戦力としてみているため、時間をかけて選手、保護者と面談をしっかりとしている
指導者は選手が気づくまで待つ
・高校野球は実質2年4ヶ月ほどしか時間がないため、指導者はついつい教えがちになってしまう
→それでは「教えすぎな指導」になってしまう
・「自分には何が足りないのか」、「それに伴って自分はどういう練習をするべきか」、このようなことに早く気づかないといけない
・岡田監督は練習中、四六時中選手を監視することはなく、あえてサボれる環境を作っている
→例えば、ケージバッティングを行う際に、岡田監督は選手を守備にはつかせずにケージバッティングを行っている選手以外は自主練習の時間にしている
→「自分は何のために履正社に来たのか」を理解してるため、自主練習中にサボっている選手はいないとのこと
・テレビゲームのように、誰かに言われなくても夢中になってやる状態が理想
このように岡田監督は選手の自主性を尊重して、様々な工夫をされているのがわかります。
日本は未だに強制的に練習をさせているチームがまだまだあり、
それは野球に限らず、様々なスポーツでもそのような環境であるのが現状です。
これからの日本のスポーツ界の発展において、
岡田監督のような指導者がもっと増えてほしいですね。
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